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2005年7月8日発行

6月定例会・健康福祉委員会 山口清明議員

介護保険法改悪で特養ホーム値上げ
市内施設入所者の55%が負担増

介護保険法の大改悪で特養ホームなど施設入所者の居住費と食費が本年10月から全額自己負担となりました。このため特養ホームなど市営施設・厚生院(名東区)と黒石荘(緑区)について、名古屋市はホテルコストを導入する条例案を6月議会に緊急上程し、健康福祉委員会で審議されました。

2つの市営施設には現在354人が入所しています。改悪で居住費と食費が負担増となるのは87人です。

「費用を払えず施設を退所せざるを得ない人がいないのか」との山口議員の追及に対して、健康福祉局は「二つの市営施設で入所者の年金額を上回って食費・居住費を支払わなければならない方はいない」と答弁しました。

市営2施設は個室がありません。山口議員は「厚生院は設立以来、行旅病人や困窮者を受け入れてきた。これからも民間の施設に行けない人たちの受け皿として役割を発揮すべきだ」と強調しました。

ホテルコストの導入など今回の介護保険の改悪は、国会での日本共産党などの厳しい批判によっていくつかの低所得対策が盛り込まれました。しかし、市内の特養ホームなどの施設入所者1万696人のうち、55%にあたる5860人が負担増となります。

特別養護老人ホーム入所者(要介護5)における利用者負担月額の変化
利用者負担段階 現行
利用者負担計 1割負担 居住費 食費
第1段階 生活保護等 2.5万円(4.5〜5.5) 1.5
(2.0−3.0)
1.0
第2段階 住民税世帯非課税
(年金80万円以下)
4.0万円(7.0〜8.0) 2.5
(3.0−4.0)
1.5
第3段階 住民税世帯非課税
(年金80〜266万円)
4.0万円(7.0〜8.0) 2.5
(3.0−4.0)
1.5
第4段階 住民税課税世帯 5.6万円(9.7〜10.7) 3.0(3.1)
(4.0−5.0)
2.6

矢印

利用者負担段階 見直し後
利用者負担計 1割負担 居住費 食費
第1段階 生活保護等 2.5万円(5.0) 1.5 0
(2.5)
1.0
第2段階 住民税世帯非課税
(年金80万円以下)
3.7万円(5.2) 1.5 1.0
(2.5)
1.2
第3段階 住民税世帯非課税
(年金80〜266万円)
5.5万円(9.5) 2.5 1.0
(5.0)
2.0
第4段階 住民税課税世帯 8.7万円(13.4) 2.9(2.6) 1.0
(6.0)
4.8
( )はユニット型個室の場合

06年度から市立大学が独立行政法人化
情報公開もなく、議会のチェック機能が大幅に後退

市立大学は来年度春に独立行政法人化されるため、その定款の制定や大学法人評価委員会の設置条例案が審議されました。

山口議員は、市立大学の魅力の一つは授業料が私立大学と比べて安いことであり、これによって教育の機会均等が保障され、医師や薬剤師などすぐれた人材育成に貢献する使命が果たせると強調しました。

独立行政法人化によって、理事長の選出方法は従来の理事長選挙から理事長選考会議によって選考され、市長が任命するように変わります。大学の経営に関する重要事項を審議する経営審議会が設けられますが、そこには大学と取引のある薬メーカーなどの企業も加われる仕組みです。大学の自治の弱まり、一方で学問研究での企業の関わりがいっそう強まり、学問の自由が侵害されるおそれがあります。

山口議員は、「市大の独立行政法人化は、議会のチェック機能が現行より大幅に後退するなど、大学の公共性を維持する上での不安が払拭されず問題である」と反対しました。