日本共産党市議団
市長にアスベスト対策を申し入れる
実態調査や住民の健康診断などを要求
名古屋市内でもアスベストによる健康被害が報告され、工場付近の住民や、かつてアスベスト含有製品を取り扱っていた人などから「何十年も経ってから発症すると言うが大丈夫でしょうか」等の不安な声が寄せられています。
日本共産党名古屋市議団は21日、松原市長に対し、未だ詳細をつかんでいない状況を一刻も早く改善し、住民の不安に対応するよう、全議員そろって申し入れました。
アスベスト(石綿)対策についての申し入れ
2005年7月21日
名古屋市長 松原武久様
日本共産党名古屋市会議員団
団長 村瀬 たつじ
アスベスト(石綿)関連企業の労働者が、名古屋市内2カ所の工場において中皮腫で死亡したことが明らかになり、関係労働者だけでなく家族、周辺住民に不安が広がっています。肺がんなど発症に至る潜伏期間は10年〜50年であり、健康被害が広がっているといわれ、事態は極めて深刻です。
アスベストは、1970年代、有害性が指摘されていました。しかし、1975年に吹き付け作業の原則禁止措置がとられたものの、発がん性が特に強い青石綿、茶石綿の使用が1995年まで放置され、主な石綿製品の使用の原則禁止措置がとられたのは昨年のことです。安全対策も不十分なまま大量の石綿の製造と使用をつづけてきた企業と、危険性を認識しながら長期間、使用を容認してきた国の責任は重大です。
アスベストの製品製造工場は、1989年の改正大気汚染防止法で特定粉じん発生施設として指定されています(市内では10工場が指定されたが、現存は2工場が指定)。しかし、改正大気汚染防止法以前については、全く把握されておりません。
名古屋市は、法に基づき1993年以降、アスベスト関連工場の敷地境界でアスベスト濃度を測定していますが、いずれも規制基準値内であるので「心配ない」としています。兵庫県のクボタ旧工場の周辺住民31人が中皮腫で死亡したと報道されましたが、住民の不安は増すばかりです。
文部科学省は、去る 7月15日、学校施設等におけるアスベスト使用に関する実態の再調査を表明しました。本市においては1987年に実態調査を実施し、改修工事を行ったものの、2002年、南区の小学校でアスベストが撤去されていなかったことが判明した事例があります。
つきましては、下記の項目について要請します。
記
- 市内における石綿に関する輸入・製造・使用・在庫・除去後の石綿廃棄物等について実態を調査すること。
- 市内の石綿関連事業所における従業員や家族、退職者及びその家族の被害実態を把握、労働災害認定など被害者救済を関係機関と協力して図ること。その際、改正大気汚染防止法以前の取り扱い工場や廃止工場についても対象とすること。
- 市内の石綿に関する製造・使用事業所等の関連企業をはじめ、吹きつけ及び含有製品使用事業所、及び事業所周辺住民などの健康診断を緊急に実施し、「相談窓口」を設置すること。
- 学校など、すべての公共施設における石綿製品の使用実態を再調査し、完全撤去すること。
以上