日本共産党市議団
新年度予算への重点要求を提出
トップダウンの市政運営をやめ、自治体本来の役割を果たせ
日本共産党名古屋市議団は9月26日、「2006年度予算編成にあたっての重点要求」を松原市長に直接提出しました。
■ 悪政から市民を守るのが自治体の責務―42項目の緊急・切実な要求を提出
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予算要求の主な内容は、「税制改正」に伴う市民負担増の影響を緩和するため、国保料や介護保険料などの減免制度の対象者拡大や、大型店の進出、撤退についての市の独自規制、アスベストの被害防止対策の抜本的強化など42項目からなっています。
2005年9月26日
名古屋市長松原 武久 様
日本共産党名古屋市会議員団
団長 村瀬 たつじ
「2006年度予算編成にあたっての重点要求」の提出について
小泉「改革」によって、地方への国庫補助負担金と地方交付税の削減がすすめられるとともに、庶民大増税や社会保障の大改悪が計画されています。また、憲法で保障された基本的人権にかかわる諸制度が次々と後退させられる一方で、憲法そのものの改悪もすすめられようとしています。
この間、名古屋市は、「財政危機」を口実に「官から民へ」と、「受益者負担」「採算性」を重視した市政運営をすすめ、福祉の優れた施策を次々と削り、自治体本来の役割を大きく後退させてきました。この一方で、「ポスト万博・空港」の名のもとで、「都市再生」など新たな大型開発をすすめています。
こうしたなかで、大型開発優先から市民の暮らし・福祉・教育優先へと転換をはかることが求められており、そのうえで市財政の立て直しが必要となっています。
以上の立場から、わが党は重点要求として42項目をまとめました。十分に検討され、来年度予算編成に反映されるよう強く求めるものです。
2006年度予算編成にあたっての重点要求
(1)トップダウンの市政運営をやめ、自治体本来の役割を果たす
1.予算編成にあたって各局への財源配分方式を中止し、下からの予算積み上げ方式にあらためる。
2.自治体の営利企業化をやめ、経営アドバイザーや経営会議を廃止する。自治体本来の役割を投げ捨てる民営化や民間委託は行わない。
3.国に対して次のことを強く要求する。
- 「義務教育費国庫負担制度」堅持を要求する。
- 国からの補助金見直しについては、公共事業などの個別補助金制度を整理・縮小し、自治体がみずからの基準と裁量で効率的に事業がすすめられるよう総合補助金制度の導入へと切り替えることを提案する。
- 生活保護について、国庫負担割合の堅持を要求する。
(2)市民負担増をやめ、福祉・教育の充実を
4.「税制改正」に伴う市民への負担増の影響を緩和するため、国保料や介護保険料、市営住宅、保育園などに関わる減免制度の対象者拡大など、見直しをすすめる。
5.公の施設の使用料や入場料の値上げを中止するとともに、65歳以上の高齢者について有料化しない。また、値上げにつながる利用料金制度を導入しない。
6.子どもの医療費無料制度は中学校卒業まで対象を拡大し所得制限を廃止する。
7.小中学校の標準運営費・光熱水費を増額する。
8.ゆとりある教育を実現するために、小中学校全学年での30人学級を段階的に実施する。
9.介護保険利用料(ホテルコストを含む)の減免、または助成制度を創設し、要介護者の介護サービスの利用を低下させない。保険料減免制度の対象者を広げる。
10.特別養護老人ホームなど介護基盤の整備を急ぐ。
11.障害者福祉の支援費制度について、十分な予算を確保し必要なサービスが受けられるよう改善する。小規模作業所を含めた通所・入所施設の基盤整備をすすめる。
12.保育所の入所待機児童の解消、病児・病後児保育等の拡充、学童保育の制度化と補助金の増額など、出産・育児と仕事の両立を応援する施策を拡充する。
13.児童虐待への対応強化のため、児童相談所を増設する。
(3)不況から市民のくらしと雇用、中小零細業者の営業をまもる
14.大型店の進出や撤退、24時間営業などについて市独自の規制をおこない、地域環境を保全し、商店街に賑わいをとり戻す。
15.市内の中小企業・業者の実態調査を実施し、これをもとに「地域経済振興条例」を制定し、総合的な中小企業対策をすすめる。
16.公共事業は市営住宅の建設・改修などの生活改善型にきりかえ、地元中小企業・業者の仕事の確保に努める。
17.消防、介護・福祉、教育など市民生活に必要な分野における市職員の採用を拡充し、雇用の確保に努める。
18.青年の安定した雇用確保のために、青年代表を含む「対策委員会」を設置するとともに、フリーターやニートなど青年のための相談窓口を開設する。
(4)人と環境にやさしく、災害に強いまちづくりを
19.アスベストの被害防止対策や被害者救済などの抜本的な取り組みを強化する。
20.土壌・地下水汚染の防止のため工場の監視や指導、跡地利用の指導強化を行い、根絶されるまで用途変更しない。
21.「地球温暖化防止行動計画」の実効性を持たせるために、CO2の最大の排出源である自動車からの排出削減について抜本策を講じる。また、超高層ビルの建設を促進するまちづくりを見直す。
22.都市高速道路の環境保全目標を超える騒音や大気汚染は、ただちに改善する。環境悪化を招く都市高速3号線の延伸は中止する。
23.民間木造住宅の無料耐震診断を大幅に増やし、1981年5月31日以前に着工されたマンションも耐震診断の助成対象に加える。耐震改修工事への助成を増やし促進をはかるとともに、マンションも対象に加え拡充を図る。
24.耐震基準を満たしていない学校の改修を早期に完了させるとともに、保育園、幼稚園、市営住宅などの改修計画をすすめる。
25.消防力の基準を満たすよう、救急隊の増隊など消防職員を増員する。
26.河川整備を抜本的にすすめ、緑地や公園、田畑、ため池などの遊水機能を生かした保全をはかるなど、総合的な治水対策をすすめる。
27.雨水を各戸で貯留するための雨水タンク等の設置にたいする助成制度をつくり、雨水の流出抑制と雨水活用をすすめる。
(5)「ポスト万博」――「都市再生」など開発優先型の市政を改める
28.大企業のための大型開発である「都市再生」事業や外資系などの企業誘致のための助成を中止するなど抜本的に見直す。
29.緊急性のない「産業技術未来博物館」構想や開発優先の公共事業となる中部国際空港の第2滑走路建設などはすすめない。
30.水余りが明らかなうえ、今後の導水事業などさらに莫大な費用を必要とする徳山ダム事業から撤退する。
31.「ささしまライブ」や「なごやサイエンスパーク」事業は、真の市民参加で抜本的に見直す。
(6)男女平等、人権尊重の市政を
32.市の管理職や審議会への女性登用を増やし、政策決定への女性の参画をすすめる。
33.DV(ドメスティックバイオレンス)被害の防止のために、配偶者暴力相談支援センターを設置するなど対応を強化する。
34.住民基本台帳ネットワークシステムから離脱する。住民基本台帳の閲覧は公共目的を除き原則禁止とする。
(7)政官業ゆ着の市政から脱却し、清潔・公正な市政を
35.政治と業界との癒着の温床である企業・団体献金について、公共事業受注企業からの献金は受け取らない。また、「政治資金パーティ券」の購入を企業・団体に対し求めない。
36.市関連企業や公共事業受注企業への幹部職員の天下りを禁止する。
37.入札は、一般競争入札を原則とし、談合の事実が発覚した企業へのペナルティをより厳しくする。
38.議員報酬は減額する。議会の政務調査費を減額し、領収書なども公開対象とする。議員の費用弁償や海外視察費を廃止する。
(8)憲法9条を守り、平和な名古屋に
39.憲法9条にもとづく平和の都市外交を広げ、アジアをはじめ世界との交流をはかる。
40.平和市長会議のよびかけた「核兵器廃絶のための緊急行動」の趣旨に賛同するとともに、非核名古屋都市宣言をおこなう。
41.非核三原則を堅持し、「核装備をしていない証明」がなければ名古屋港に入港できないようにする。名古屋港の自衛隊の軍事利用に反対する。
42.戦争協力となる「国民保護法」の凍結・撤廃を求め、「名古屋市国民保護計画」の策定をとりやめる。
以上