定例会本会議(10月17日)田中せつ子議員の反対討論
福祉後退させ、自治体の役割なくす
公の施設使用料の値上げ・有料化は撤回を
名古屋市議会は17日の本会議で公の施設使用料の値上げ・有料化を与党3党の賛成で可決しました。日本共産党は田中せつ子議員が反対討論に立ちました。内容は以下の通りです。
日本共産党市議団を代表して、原案および修正案に対して、「市の施設の使用料・入場料の改定」に反対する立場から討論を行います。
高齢者福祉のさらなる切り捨て
反対する第1の理由は、高齢者料金の有料化は、高齢者福祉のさらなる切り捨てだからです。
高齢者の施設利用が無料になったのは、32年前にさかのぼります。「どこへでも気軽にお出かけください」と市内のお年よりに敬老パスと東山動植物園、名古屋城、などの無料がプレゼントされたのです。敬老の精神から発足し「福祉日本一」と評価され、全国に、この制度が広がっていきます。まさに、名古屋の宝でもあります。
市民に定着した、この無料制度を変えることは、敬老パスに引き続き、高齢者福祉のさらなる切り捨てであり、福祉施策の大後退といわざるを得ません。修正案は高齢者料金を大人の2分の1から3分の1にするというものですが、有料化に変わりはありません。
パブリックコメントでも、「高齢者の社会参加に重大な打撃を与える」など、市民から大きな怒りの声があがっています。高齢者料金の有料化は、憲法25条や地方自治法の精神にてらしてみても、断じて認めることはできません。
自治体の役割を投げ捨てる
反対する第2の理由は、市民に受益者負担を押し付けることは、自治体本来の役割をなげすてることだからです。
市の公の施設には、本来、設置目的というものがあります。ところが、今回の値上げでは、こうした各施設の設置目的や使用目的を考慮することなく、収支のみに着目して、すべての施設に「設定基準」をそのままあてはめたために、さまざまな矛盾が生じました。
その一つに、基準を当てはめると値上げ幅が大きくなる施設があり、1.5倍という上限を設けなければ、提案できなかったということです。
二つ目は、負担割合が公費50% 受益者50%と提案された名古屋城が、途中で変更されたことです。受益者負担50%でいけば、名古屋城は値下げがされることになります。なぜ変更するのか。当局からは、明快な答弁はありませんでした。すべての施設に当てはめることができない基準そのものは撤回すべきです。
自治体の本来の役割は、それぞれの施設の設置目的にそって、多くの市民に利用してもらうことです。農業文化園は毎年利用者が減っています。値上げによって、さらに利用者が減るようなことになれば、本来の設置目的が大きく損なわれることになってしまいます。
今回の値上げ・有料化は撤回するしかないことを強く申し上げ、私の反対討論といたします。