敬老パスにつづく福祉の大後退
公の施設使用料値上げ・有料化関連条例の可決にあたって
2005年10月17日 日本共産党名古屋市議団団長 村瀬たつじ
一、与党修正案は有料化に変わらない
10月17日の本会議で、公の施設の使用料値上げと65歳以上の有料化について自民・民主・公明から提出された与党修正案が賛成多数で可決成立しました。
松原市長は、「公の施設にかかる使用料の設定基準」にもとづき、126施設についての使用料値上げを含む「料金改定」と、名古屋城や東山動植物園などについての65歳以上の高齢者の有料化を提案しました。これに対する自民・民主・公明の与党修正案は、高齢者について市長が提案した大人料金の「2分の1」を「3分の1」とする内容ですが、「有料」にすることに変わりません。
日本共産党市議団は、この値上げの市長原案にも与党修正案にも最後まで一貫して反対の態度をとり、値上げ案の撤回を求めて奮闘してきました。
一、市民の声は値上げ・有料化反対が圧倒的
「受益者負担」の名による公の施設の使用料値上げ・有料化は、市民を公の施設から遠ざけるものであり、「住民の福祉の向上」という地方自治の本旨を投げ捨てるものです。日本共産党は、「使用料の設定基準素案」をもとに試算し、大幅な値上げになることを明らかにし、市民に知らせてきました。そして市が公募した市民意見「パブリックコメント」では、値上げ・有料化反対が圧倒的多数となりました。
革新市政の会や年金者組合など市民団体が取り組んだ「反対署名」は、短期間のうちに2万5千名を超し、連日にわたる市役所前での座り込み行動や反対集会、議員への要請などが取り組まれてきました。こうした動きを背景に、値上げ案は、市民の世論を無視することはできず、全施設での値上げは見送られ、値上げ幅も上限が設けられ最高1.5倍とされました。
一、「日本一の福祉」は大幅な福祉の後退
市長は今回の値上げ・有料化提案の根拠として、「受益者負担の原則」の名のもとに、「施設を利用する人と利用しない人との負担の公平から、利用者に応分の負担をお願いする」「高齢者にも一定の負担をお願いする一方、子ども料金について負担の軽減を図る」ということをあげました。
しかし、そのねらいは市民への負担増をおしつけることを正当化することにあります。市民の税金で作られた公の施設は、多くの市民が利用することによって、その設置目的を有効に果たすことができます。
松原市政は、これまで「受益者負担」「コスト」「効率性」と称して、指定管理者制度の導入など「民間でできることは民間へ」と、地方自治体を「営利企業」に変え、「住民の福祉と健康を増進」すべき地方自治体の役割を投げ捨ててきました。「日本一の福祉」として市民に定着していた「敬老パス」の有料化や福祉給付金の削減などを進めた上に、今回の値上げ・有料化で、かつての「日本一の福祉」施策は見る影もなく、大幅な福祉の後退となります。
一、松原市政を後押しする自・民・公の与党
今回の値上げ・有料化は、昨年の2月定例会で高齢者の施設使用料の有料化が否決された際、与党会派が「受益者負担について統一した基準を作れ」としたことが発端です。
与党会派は、本会議や委員会審議の中で、「受益者負担は理解できる」としながらも、日増しに広がる反対世論を無視できず、高齢者について「70歳か75歳以上を無料にしたらどうか」「名古屋城や東山動植物園は無料にできないか」などの意見も続出しました。しかし、松原市長は「公の施設使用料の基準を作れと言ったのは議会(与党議員)ではないのか」と居直り、強硬な姿勢を崩しませんでした。
委員会の採決を予定した10月14日、自民・民主・公明の与党間の意見調整が長引き、予定されていた委員会の採決が夜遅くにずれこむとなるという異常な事態となりました。最終的に与党会派は修正案を提出しましたが、市民への痛みの押しつけを進める松原市長を後押しする姿が明らかになりました。
一、市民のくらし守るために全力
9月定例会は、これから決算認定審査が始まります。日本共産党は、ひきつづき市民のくらしを守るためのたたかいに全力をあげる決意です。