日本共産党名古屋市議会議員団Webサイト
2006年2月17日発行

経済水道委員会(2月16日)さとう典生議員・かとう典子議員

大赤字の名古屋ボストン美術館
基金を取りくずし県・市に20億円負担を求める

2月16日に経済水道委員会が行われ、名古屋ボストン美術館について審議が行われました。

財界のツケを税金で穴埋するのは問題

名古屋ボストン美術館米国ボストン美術館の姉妹館として20年契約で設立された名古屋ボストン美術館は、開館時は多くの入場者がありましたが、近年は赤字続きで運用財産が減る一方です。市民経済局は、10年目に契約を見直すことができるので、県・市が出した30億円の基金のうち、20億円を取りくずし運用にあてると提案しました。

名古屋ボストン美術館は、名古屋商工会議所が中心になり、県・市へ財政支援を求め名古屋国際芸術交流財団を設立して米国ボストン美術館と契約して、1999年4月に開館しました。これまでに140万人が入場しています。

運営をしている財団の基本財産は4億円(県市各1億円、財界2億円)、経営安定化基金が30億円(県市各15億円)、運用財産は75億円(財界負担、当初44億円、追加31億円)です。

赤字の責任は財界が持つはずだったのに…

経営安定化基金についての市との覚書等では「契約終了時には県市に寄付。取り崩さない。運営での赤字補填にしない」となっています。2004年度の収支も約5億円の赤字で、繰越収支差額は約20億円を残すのみです。

収支悪化の原因は、ボストン美術館へ義務づけられた寄付金(設立時の試算で20年間62億円)や、展示内容への制約で魅力ある展示を継続できなかったことなどがいわれています。

2009年度からの後半10年の契約について、財団がボストン美術館と交渉し、寄付金を37億円から17億円に削減したうえ、さらに不足する55億円のうち35億円を寄付金、20億円を市と県が出した30億円の基金を取り崩しでまかないたいということです。

大もうけの財界に責任を求めよ

さとう典生議員は、「過去の経緯から見ても支援要請は突き返すべきだ。必要だと思うのなら、元気な名古屋で大もうけしている財界が努力すればいい。赤字になったら財界がカバーすることになっていたではないか。できないのなら閉館も考えるべきだ」と指摘しました。市は「継続するためにどんな支援をできるのかを検討し、新しい覚書でどうかと考えた。財界も民間主導で進めてきたことをキモに命じて、寄付金集めをやってきた」と答えました。

さとう議員は「市の支援がなければ、ボストン美術館との契約継続ができないといって支援を要求するのはおかしい。施設利用料の値上げなどで市民は大変であり、理解は得られない」と批判しました。

与党からも厳しい意見

与党会派からも「覚書を変えることはできない。他の支援を考えよ」とか「誰が責任をとるのか。財界からの35億円は本当に集まるのか」などの意見が出されました。

今後10年間の収支見込み
区分 事項 金額
収入 入場料(年平均16万人) 12億円
金利 2億円
賛助金 7億円
その他 2億円
23億円
支出 ボストン美術館への寄付 17億円
展覧会制作費 15億円
ビル管理費 15億円
人件費・人的委託費 8億円
家賃 10億円
情宣費 6億円
その他 6億円
78億円
資金不足 △55億円