6月16日・都市消防委員会(わしの恵子、さとう典生議員)
中村区の火災で消防士4名が死傷
原因究明と再発防止を
6月10日夜発生した中村区の火災で、消火にあたった消防隊員1名が死亡し、3名が負傷するという痛ましい事故がおきました。日本共産党名古屋市議団は、都市消防委員会委員のわしの恵子、さとう典生議員がただちに現地に赴き、関係者からの聞き取りをすすめるなど、原因究明や再発防止のために取り組んでいます。
16日の都市消防委員会では、この死傷事故についての報告があり、委員から状況や原因等について質疑がかわされました。
「マニュアルどおり。不測の事態」でいいのか
冒頭、犠牲となった消防隊員への黙祷の後、消防局より報告がありました。報告によると、「事故は、火災した家屋の2階床が崩落し、4人が下敷きになり死傷した」ものであり、今後の対応として「安全対策検討委員会(仮称)」を設置し、原因を究明するとともに再発防止の検討をすすめる予定です。
さとう議員は「新聞報道などでは不測の事故で予見できなかったと当局の見解がしめされているが、『マニュアルどおり』『不測の事態』ですませていいのか」と当局の認識をただしました。当局は「マスコミなどに不測の事態、と発表したのは、指揮活動はしっかりやられていたからで、崩落の兆候があるところには進入させなかった。現場の指揮に落ち度はなかった」とこたえました。
「行財政改革」で、指揮隊員を削減 火災現場での消防士の安全に不可欠
さとう議員は「指揮隊は隊員の安全のために非常に重要だ。名古屋市では、23年前、栄地下鉄の火災で消防士が死亡する事故が起き、その痛苦の教訓から指揮隊を整備し、充実させるなど先進的な取り組みをすすめてきた。ところが昨年、指揮隊の基準人員を減らし、職員削減のなかで、指揮隊員を12名も減らした。問題ではないか」と追及しました。当局は、指揮隊員を減らしたことは認めつつも「実際に出動する時には、今回のケースも含めて、これまでと同じ5人で指揮隊を構成できるようにしている」と答えました。
わしの議員は「『マニュアルどおり』『不測の事態』というが、神戸でも同様の死亡事故があった。これから検討委員会を設置して原因究明するというのに、本当にそんな見解でいいのか」と消防長の認識をただしました。消防長は「消防職員は市民の安全を守るため、使命感に燃えて活動している。危険、危険といっていたら何もできない。今回の事故で士気の低下がおこらないようにすることが一番大事だ」と答えました。
現場では指揮能力の低下に危機感が
原因の究明はこれからですが、昨年の指揮隊員削減が職員に、消防局の「安全」に対する姿勢が低下したという印象を与えたのではないでしょうか。
また、現場では指揮能力の低下が懸念され、不満の声があがっています。
図:「毎日新聞」6月13日付より
今回の事故の概要
6月10日深夜、中村区で発生した木造2階建住宅の火災で、消防車28台、 消防士106人が出動。ほぼ鎮火したころに、1階居室で消火活動中の所へ、大量の放水が原因となって2階部分が崩落し、1名が死亡、3名が重軽傷を負う事故にいたった。
1983年の地下鉄火災事故とは
1983年8月16日に、無人の地下鉄栄駅変電室で火災が発生し、猛煙のなかで現場指揮の不適切な対応から2名の消防士が犠牲になりました。
日本共産党は直ちに現地調査を実施、現場で活動する消防士からも聞き取り調査などを詳しく行い、議会で徹底解明と再発防止を求めて奮闘しました。
その後、指揮隊の設立をするなど体制の充実や見直し、などが行われてきました。