障害者自立支援法についての懇談会(8月3日)
「応益負担」変えなきゃダメ
―障害者や施設関係者から怒りの声相次ぐ―
井上参院議員と山口市議が報告
日本共産党愛知県委員会と党名古屋市議団は3日、名古屋市中区で障害者自立支援法施行後の問題点について関係者と懇談しました。障害者や家族、施設関係者ら約100人が出席。井上さとし参院議員と山口きよあき市議が報告しました。
重度障害の女性は「月7万5千円も自己負担。何とかしてほしい」。施設職員も「仲間たちの手もとに残るのは月5、6千円。親が生活を切り詰めて貯めた貯金を取り崩して暮らしている」と述べました。
聴覚障害者の男性は、手話で「手話通訳を利用するにも一割負担。市の無料派遣制度が廃止されたら、社会とのパイプが切れて心まう」と訴えました。
施設経営者は、「月々の負担が大変で、家族会費や施設協力費を払えない家族が増えている。長く障害者運動にとりくんできたが、先が見えない状況は初めて」「施設報酬が日割計算となり年間2億円の赤字が見込まれる。旧制度でも経営は大変だったのに、このままでは障害者と共倒れだ」と述べました。
一方、「市町村の支給決定基準が国の予算の枠内に抑えられないよう、障害者や家族の願いを反映させるための運動が急務」「数百人規模でのパレードや、県、市役所前での徹夜の座り込みを計画している」などの発言や「共産党だけが頼り。議席をもっと増やしてほしい」などの声が相次ぎました。
井上参院議員は、党国会議員団の独自調査にもとづいた国会論戦について「国に対し、実情に見合った軽減措置を実施させるとともに、応益負担という考え方そのものを切り替えさせるため、皆さんと一緒に奮闘したい」と語りました。
山口市議は、「市独自の負担軽減を求めてきたが、障害児通園施設の軽減措置をはじめ。地域生活支援事業について本人課税が基準となった。市議会で共産党提案の意見書が可決した」と報告しました。
八田ひろ子前参院議員と、せこゆきこ元衆院議員があいさつしました。
サービス利用断念20人 党名古屋市議団が施設運営アンケート
日本共産党名古屋市議団は、障害者自立支援法施行による市内の障害者施設への影響調査の中間報告をまとめました。
減収で施設経営は大赤字
サービス利用を断念した利用者は20人、検討中も6人に上ることが明らかになりました。市議団が先月、市内にある275の障害者施設にアンケート用紙を送付し、2日現在、37施設から回答を得ました。
今年4月以降の施設収入が3月までの比較で、「減収」した施設は76%、「委化なし」は19%、「増収」は0%となりました。「減収」となった施設のうち減収割合を尋ねた項目では、「2割以内」が最も多く57%となりました。
施設収入の減少についての対策を複数回答で尋ねた項目では、20施設が「定員を超えた新規利用者の受け入れ」と回答、19施設が「夏休みの日数減」、16施設が「職員のパート化」などとなりました。
応益負担の導入により負担増となった利用者は、利用者総数1090人のうち9割以上の917人。負担増2万円以上、3万円未満が最も多く40%となりました。
「所得の少ない障害者の方から利用料を徴収することは、明らかに生存を脅かすことにつながりかねません。普通に生活し生きていくことを保障するのが国の責任です。応益負担の撤回を何としても考えていただきたい」などの声が記入されています。
負担軽減にがんばります
利用者の退所など自立支援法による深刻な実態が、市議団の調査でも明らかになりました。正現職員をパート化するなど施設にもたらしている影響も深刻です。市側は「国の制度の枠内で」という立場です。党市議団は引き続き、障害者の人の声を聞き市独自の負担軽減策を求めるとともに、国の制度を変えるため全力を尽くします。