日本共産党名古屋市議会議員団Webサイト
2006年8月31日発行

8月29日 都市消防委員会 さとう典生議員・わしの恵子議員

市民を戦争に巻き込む国民保護計画

04年の国会で成立した「国民保護法」にもとづき、「国民保護計画」が今年度末までに全市町村で策定されことになっています。災害救助や防災を口実にしていますが、軍事最優先で公的施設の徴用などを国の方針として押し付けるものです。すでに愛知県が策定したのを受け、名古屋市では自衛隊幹部も参加する国民保護協議会で「素案」が検討されています。

8月29日の都市消防委員会では、同案についてさとう、わしの両議員が質問しました。

先制攻撃への一体参加も

国民保護法では表1のように、8つの事態が想定されています。さとう議員は「これらの国民保護法の想定する事態で名古屋市はどうなるか」と質問しました。は「未経験の事態なので国、県の考えに合わせている。国は着上陸侵攻の可能性が少ないと防衛計画大綱でいっている」と答弁しましたが、先制攻撃への一体参加も可能となる危険な内容です。

また、表2のように対策本部設置、警報伝達、住民の避難誘導の実施要領等をまとめ、全市域が要避難地域になった場合に市職員の配置などを定めることになっています。

さとう議員は「全住民が市域外に避難しなければならない場合は、どういう事態が起きたときか。避難にはどれぐらいの時間を要するのか」と質問。市は「着上陸侵攻の場合が考えられるが、自主避難が中心であり、何日かかるか言えない」と答えました。

自衛隊がいれば攻撃目標になる危険

更にさとう議員は、「防衛出動の部隊と保護派遣の部隊を市民が見て区別できるのか。混在一体になって戦闘員が一緒では攻撃目標になるではないか」と指摘。市は「制服等の区別がつくかは把握していない。自衛隊への避難誘導の応援は市長が判断する。自衛隊が一緒にいると危険性はあるが、状況によって要請する」としました。

「訓練の強制はしない」と答える

市民への強制が心配されますが、さとう議員は「国民保護計画をつくらない自治体もあるといわれている」「自主防災組織にも訓練参加のよびかけがされるが、強制することにならないか」「市民の意見を聞くためにパブリックコメントだけでなく、公聴会を開くべきでないか」と質問。市は「強制はしない」と答えました。た。。

わしの議員は、「当局は避難を望む人を優先して守ると答弁したが、何人ぐらいが避難を希望しているのか」との質問に対し、当局は「避難を望まない人も説得していく」としました。

 

表1 国民保護法制において想定される事態

武力攻撃自体 着上陸侵攻
ゲリラや特殊部隊による攻撃
弾道ミサイル攻撃
航空攻撃
緊急対処自体 危険性を内在する物質を有する施設等に対する攻撃が行われる事態
多数の人が集合する施設、大量輸送機関等に対する攻撃が行われる事態
多数の人を殺傷する特性を有する物質等による攻撃が行われる事態
破壊の手段として交通機関を用いた攻撃等が行われる事態

表2 武力攻撃事態等における市の主な役割

  • 市国民保護対策本部の設置
  • 住民への警報等の伝達
  • 住民に対する避難誘導の実施
  • 避難住民等の救援
  • 退避の指示や警戒区域の設定等の応急処置
  • 安否情報の収集・報告など

表3 今後のスケジュール

06年9月 パブリックコメント(9月11日〜11月2日)
12月 第4回国民保護協議会開催(市国民保護計画案の答申)
07年1月 愛知県知事協議(〜3月予定)
3月 市議会への報告と市国民保護計画の公表