日本共産党市議団
新年度予算への重点要求を提出
「2008年度予算編成にあたっての重点要求」
の提出について
2007年10月4日
名古屋市長松原 武久 様
日本共産党名古屋市会議員団 団長 わしの 恵子
福田政権は、来年度も社会保障予算を抑制する「構造改革」路線をつづけ、「貧困と格差」に追い打ちをかける政治を進めようとする一方で、国民の批判の声に押されて、国民負担増の部分的な凍結を検討せざるをえなくなっています。こうしたもとで名古屋市が、「構造改革」路線をそのまま地方にもちこむ「悪政の下請け機関」化を続けるのか、それとも「住民の福祉と暮らしをまもる」という地方自治体の本来の役割を取りもどすのかが問われています。
そこで、来年度の予算編成にあたっては、わが党は、(1)国による住民負担増と社会保障切り捨てに反対し、暮らしと福祉をまもる、(2)「民営化万能論」に立たず、不要不急の大型プロジェクトの見直しなどによって効率的な行政を実現する、という立場で取り組むことが求められていると考えます。
そのうえで、わが党は、46項目の重点要求をとりまとめましたので、十分に検討され、来年度予算編成に反映されるよう強く求めるものです。
2008年度予算編成にあたっての重点要求
- 予算編成にあたっては、各局への財源配分方式を中止し、現場からの予算要求積み上げ方式にあらためる。
- 自治体の「営利企業化」をもたらす経営アドバイザーや経営会議は廃止する。「住民の福祉の増進」という自治体本来の役割を放棄する福祉施設などの民営化や民間委託、市場化テストの導入は行わない。
- 市民税減免制度(特に65歳以上の減免)について所得基準を元に戻し、対象者を拡大する。
- 障害者控除など現行の各種減免制度や税控除などについて対象者に周知徹底を図る。
- 後期高齢者医療制度については、来年4月からの実施を中止・撤回するよう国に求めるとともに、本市として国保の減免対象者などにたいする保険料の負担軽減措置を実施する。資格証明書は発行しない。
- 介護保険の保険料減免制度を創設し、利用料(ホテルコストを含む)の減免制度を拡充する。
- 特別養護老人ホームなどの待機者の実態を把握し、必要な介護基盤の整備を急ぐ。療養病床の削減計画の中止を国に求める。
- 精神障害者(患者)への通院医療費を無料とし、障害者医療の対象も精神2級へ拡大する。
- 守山市民病院の分娩受け入れ廃止を撤回し、市立病院整備基本計画を抜本的に見直す。市立病院での病棟閉鎖を解消するために、看護師の労働条件を改善し、必要な人員を確保する。名古屋市立大学の医学部定員を増やすなど、産科・小児科などの医師不足解消に努める。
- 子どもの医療費無料制度は、入院・通院ともに中学校卒業まで対象を拡大する。
- 妊婦健診については、14回すべて無料にする。
- 保育所の入所待機児童の解消など、出産・育児と仕事の両立を応援する施策を拡充するとともに、保育料の値上げや公立保育園の民営化は行わない。
- 学童保育の制度化で助成の増額をはかり、トワイライトスクールとの一本化は行わない。
- 小中学校の標準運営費や光熱水費など市立学校の運営費を増額する。
- ゆきとどいた教育を実現するために、小中学校の全学年での30人学級を段階的に実施する。
- 保育所をはじめ教育施設、児童福祉施設の日影被害を防ぐためのマンション建設などにたいする規制を強化する。
- 保育所や小中高などの市立学校、幼稚園の普通教室などにクーラーを設置する。
- 大型店の進出・撤退や24時間営業などについて、市独自の規制をおこない、地域環境を保全し、商店街に賑わいをとり戻す。
- 市内の中小企業・業者の実態調査を実施し、これをもとに「中小企業振興基本条例」を制定し、総合的な中小企業対策をすすめる。
- 公共事業は生活密着型にきりかえ、分離・分割発注による中小企業・業者への受注確保をすすめる。
- 消防、介護・福祉、教育など市民生活に必要な分野における市職員の正規採用を増やし雇用の確保に努める。
- 青年の雇用実態を調査するとともに、青年に労働法など労働者の権利について知らせる取り組みをすすめる。青年の安定した雇用確保のために、市として市内企業にたいして正規雇用を増やすよう働きかける。
- 土壌・地下水汚染の防止のため工場の監視や指導、跡地利用の指導強化を行い、根絶されるまで用途変更しない。
- 「地球温暖化防止行動計画」の実効性を持たせるために、CO2の最大の排出源である自動車からの排出削減について抜本策を講じる。
- 東京大気汚染訴訟の和解をふまえ、ぜん息など大気汚染による新たな健康被害者にたいし、医療費助成を行うとともに、浮遊粒子状物質を健康影響評価の対象にする。
- 都市高速道路の環境保全目標を超える騒音や大気汚染は、ただちに改善する。環境悪化を招く都市高速東海線の延伸は中止する。
- 民間木造住宅やマンションへの耐震改修工事への助成を増やし、改修促進をはかる。
- 消防力の整備指針を満たすよう、救急隊の増隊など消防職員を増員する。
- 河川整備を抜本的にすすめ、緑地や公園、田畑、ため池などの遊水機能を生かした保全をはかるなど、総合的な治水対策をすすめる。
- 名古屋城本丸御殿の復元は急いで進めない。
- 「モノづくり文化交流拠点」構想は、民間でできる分野に市が多額の負担をする必要はないので中止する。
- 「ささしまライブ24」事業は、市民参加で抜本的に見直す。
- 大企業のための大型開発である「都市再生」事業や外資系などの企業誘致のための助成を抜本的に見直す。
- 水需要のない徳山ダムの導水路事業は中止する。
- 中部国際空港の第2滑走路建設はすすめない。
- 名古屋港における複数の大水深バース建設は中止し、金城ふ頭の活用も含め、貨物需要に見合ったターミナル整備をすすめる。
- 市の管理職や審議会への女性登用を増やし、政策決定への女性の参画をすすめる。
- 「子ども条例」(仮称)は、子どもの権利条約の理念をふまえて子どもの権利を保障するものとし、子どもと市民の参加でつくりあげ、実効性を確保するための推進機構をつくる。
- 政治と業界との癒着の温床である企業・団体献金について、公共事業受注企業からの献金は受け取らない。また、「政治資金パーティ券」の購入を企業・団体に対し求めない。
- 市関連企業や公共事業受注企業への幹部職員の「天下り」を禁止する。
- 入札は一般競争入札を原則とし、談合の事実が発覚した企業へのペナルティをより厳しくする。
- 議会の政務調査費を減額し、領収書なども全面的に公開する。議員の議会出席の費用弁償や海外視察費を廃止する。
- 憲法9条にもとづく平和の都市外交を広げ、アジアをはじめ世界との交流をはかる。
- 平和市長会議のよびかけた「核兵器廃絶のための緊急行動」の趣旨に賛同するとともに、非核名古屋都市宣言をおこなう。
- 非核三原則を堅持し、「核装備をしていない証明」がなければ名古屋港に入港できないようにする。名古屋港の自衛隊や米軍の軍事利用に反対する。
- 戦争協力となる「国民保護法」の凍結・撤廃を求め、「名古屋市国民保護計画」にもとづく訓練などを市民に強制しない。
(1)トップダウンの市政運営でなく、自治体本来の役割を果たす
(2)市民負担増をやめ、福祉・介護・医療の充実をはかる
(3)子育て支援、保育・教育の充実を進める
(4)市民の雇用と中小企業・業者の営業をまもる
(5)人と環境にやさしく、災害に強いまちづくり
(6)「ポスト万博」――不要・不急の大型事業の中止・見直しを
(7)男女平等・人権尊重、清潔・公正な市政を
(8)憲法9条を守り、平和な名古屋に
以上